太陽光発電は設置すればずっと性能を発揮し続けるイメージがあります。しかし、各メーカーはそんな太陽光発電システムに対して保険・保証サービスを展開しています。ずっと性能を発揮するのなら、保障や保険は必要ないはず。そう、実は太陽光発電には耐久年数や寿命が存在するのです。
静岡で太陽光発電設置業を例に挙げると、シャープでは「システム構成機器丸ごと15年保証」と題した長期保証を実施。これは、太陽電池モジュールや架台、パワーコンディショナー、電力モニタをはじめとしたシステム構成機器がトラブルを起こした際に無償で修理を行ってくれるというものです。
一方、パナソニックではモジュールに25年の保証、周辺機器に15年の保証を設定。耐久年数が長いモジュールに25年というかなり長い保証がかけられているのがメリットになっています。
このように、太陽光発電は設置したらそれで終わりではなく、保険・保障サービスまで考慮しなくてはいけないのです。この記事では、太陽光発電の保証サービスが重要な理由として、耐久性や寿命について詳しく解説していきます。
太陽光発電は、その性質上屋外に設置することになるため、雨や風、温度変化、紫外線などの外環境による劣化が心配されます。特に自然災害については深刻で、台風や落雷、地震、大雪などは太陽発電施設自体を破壊してしまう可能性があるのです。
とはいえ、基本的に太陽光発電施設は建築基準法に基づいて設置されているため、普通の台風程度ならば十分に耐えられます。落雷にはパワーコンディショナーに組み込まれた避雷機によってシステムに影響が出ないよう設計するなど、自然災害対策はしっかりと行われているといえるでしょう。
さらに、地震大国である日本では、太陽光発電施設の地震対策もバッチリ。地震の振動や大地のねじれによって受けるダメージを想定した試験から得たデータを元に基礎を設置しているので安心です。
東北や北海道では雪の対策も重要になってきますが、パネルの角度を調整することで積雪も抑えるように工夫されています。
このように、太陽光発電の耐久性能は大抵のリスクなら突破できる程度に高くなっていますが、それでも心配な方は保険・保証サービスを契約するといいでしょう。
太陽光発電は耐久性能だけを気にすればいいというわけではありません。稼動できる寿命も存在するのです。国税庁は太陽光発電の法定耐用年数として17年と設定しています。
しかし、基本的に太陽光発電は17年以上稼動できるものがほとんど。ソーラーパネルなら20~30年ほどは稼動しますし、パワーコンディショナーでも10~15年は稼動させることができます。稼働環境次第ではさらに長く使用できる実例もあるので定期的なメンテナンスを行うことが何よりも肝心です。
とはいえ、経年劣化は避けることはできません。ソーラーパネルはその素材によって劣化のレベルも異なり、減少する発電量も変わってきますし、パワーコンディショナーはソーラーパネルよりも劣化が早いため、性能が落ちてきた段階で交換する必要があります。内部交換なら3万円程度ですみますが、本体ごと買い換える場合15万円程度の金額がかかるので注意しなければいけません。
太陽光発電の経年劣化のなかでも顕著にみられるのが、配線の劣化です。具体的には配線の腐食、剥離、断線などの症状があげられ、いずれもが出力低下に直結します。またパネルのガラスの表面に付着した汚れ、変色、変形も、同じく出力低下の原因となるだけでなく、紫外線による内側の機器への悪影響も想定される劣化です。
ちなみに劣化が顕著にみられる箇所は、パネルから露出している配線部分と、パネルを支える機材の部分と推察されます。
太陽光発電システムの構築で実績を有する複数の団体は、それぞれの見解に基づく発電量低下率を発表しています。ちなみにそれらの数値は「0.25~0.5%/1年」「0.5%/1年」と、微妙に違いがみられます。また太陽光発電協会は、複数の国内メーカーの平均的な低下率として「0.27%/1年」というデータを報告しています。
産業技術総合研究所による実験結果に基づく、材質別の劣化具合を示す数値が、データとして存在しています。
まずは低コストで導入しやすいメリットが人気の多結晶シリコンですが、単結晶シリコンと比較して、劣化が早いという結果が出ています。
発電力はシリコン系よりも劣りますが、薄くするっことでの低コスト化がメリットのアモルフォスは、5年間の使用で5.7%の劣化と、長寿命とはいえない数値が出ています。対して単結晶シリコンよりも発電率に優れ、劣化速度も5年間の使用で2%と低いヘテロ接合は、現時点での太陽光電池の材質として注目を集めていますが、製造コストが高いのがネックです。
これら各種材質のなかで、次世代の太陽光電池の素材として注目を集めているのがCISです。出荷状態から最初の1~2年は太陽光を浴びることで出力係数が伸びる特徴を持ち、他の材質と比較して発電効率の伸びが大きいのがメリットです。現段階では5年使用での劣化率が1.5%とのデータが出ていますが、それ以上の中長期的な数値に関しては、現段階では確認できていません。
太陽光発電を導入するに際しては、中長期的なシミュレーションが欠かせません。ここで浮上するのが、導入前に参考として示される発電量の将来予測シミュレーションが、経年劣化を視野に入れた内容であるかどうか、という疑問です。
この点に関してはメーカー毎に違いがみられ、経年劣化を考慮しない、あるいは一定の数値の劣化を考慮したシミュレーションであるなど、統一されていない模様です。ただし仮に「0.5%/1年」の劣化が生じ続けたとしても、10年後の累積の発電低下は数%程度と、決して大きなブレではありません。太陽光発電のシミュレーションの確認作業に際しては、経年劣化の考慮の有無をチェックすることで、発電量を多目に見積もったデータであるかどうかの推察が可能です。
もう1点、パネルの出力保証で設定されている劣化率が適正であるかどうかも、見過ごせないポイントです。たとえば「10年間で90%、25年間で80%の出力保証」を提供するシステムの場合、この劣化率の信憑性に関する疑問が生じます。
さらに掘り下げて説明を進めるには、この「90%の出力保証」の正しい解釈が必要です。90%のN出力保証の対象となる太陽光発電システムとは、公称最大出力90%の90%、すなわち91%を下回るシステムに限られます。対して発表されている低下率は「0.25~0.5%/1年」であり、10年後の出力は単純計算で98~95%と算出され、81%とは大きな差が生じます。製造販売するメーカー側が、保証サービスを提供する一方で、実際の保証条件を非常に厳しく設定し、保証回避を狙っていると推察できます。
性能劣化の際の交換は、保証サービスに含まれていることが多いため、太陽光発電の設置業者を選定する際には、忘れずにチェックするようにしましょう。
また、売電メーターは性能劣化のあるなしに関わらず、法律上10年ごとに検定を受けなければいけません。ほとんどの場合メーターは交換になるのですが、保証に含まれていないため費用は所有者負担になります。中には無料で交換してもらえる所もあるので、業者選定の際には、この点も注意するといいでしょう。
自宅用産業用を問わず、導入の増加傾向が続く太陽光発電は、適切なメンテナンスや導入に際しての施工店の選択の重要性など、着目すべきポイントが少なくありません。
とりわけ産業用としての太陽光発電システムの導入の場合、同一機器をより長期的に稼働させて十分な発電量を確保し続けることで、採算性を向上させるメリットが見過せません。初期投資が大きくなる傾向が避けられませんが、導入するシステムの保証期間や耐久性や劣化度を総合的に検証のうえ、事業計画にマッチしたシステムの選択が重要です。
また家庭用産業用を問わず、適切なメンテナンスが欠かせません。ちなみに世界各国で進められている太陽光発電所の新設に伴い、ロボットによるパネル洗浄作業から羊による除草など、よりコストパフォーマンスに優れたメンテナンスが開発されています。
たとえば遠隔監視システムは、私たちの自宅や管理施設においても、既に導入が進んでいます。異常発生に対する早期対処で発電量低下を抑え、劣化や故障につながるリスクを回避する効果が期待されています。こうした人的作業以外の迅速な初期対応が、システムの耐用年数長期化にプラスとなる可能性も、注目すべきポイントです。
現在導入が進む太陽光発電の設備は、2030年頃に寿命を迎えると推察され、その頃までにはパネルのリサイクル方法と、ルートが確立から標準化されている環境の構築が期待されます。すでに2005年頃から自社主導のリサイクルプログラムを実践しているメーカーもあり、注目を集めています。同システムの導入に際しては、地球環境への配慮を視野に入れた活用が、エンドユーザーの義務であると、現時点から捉えておくべきでしょう。
実際に金属製ではなく、木製架台を用いた設備も開発されています。腐食加工を施すことで風雨の影響による劣化防止効果を狙い、撤去後にはバイオマス発電の燃料に転用するなど、ごみ減少のメリットも視野に入れた設備です。
太陽光発電は住宅用と産業用では、機器の規模や確保が必要となる電力量、更には設置場所の環境など、全てが大きく異なります。限られたメリットだけを注視してミスマッチなシステムを導入してしまうと、想定外のリスクやデメリットが届く可能性が一気に高まります。またさまざまな寿命や経年劣化に関する報道のなかには、俄には信じられないような内容も散見されます。その真偽を冷静に見極め、鵜呑みにして左右されない姿勢が、すべてのエンドユーザーに求められます。
太陽光発電を専門に取り扱う、あるいは窓口的な役割を担う業者の多くは、住宅用もしくは産業用、いずれかを主力商品とする特徴を有しています。また自社のメリットに関しても、たとえば他には負けない圧倒的な安さを前面に謳う、あるいは環境貢献を重要視しているなど、その内容はさまざまです。先行投資する意味を見失わないためにも、信頼に値するデータの内容を理解のうえ、総合的に検討を重ねる作業が欠かせません。
以前とあるメディアを通じ、近隣某国製の太陽光発電システムの極端な劣化率が報じられました。「10年後には出力が50%くらいに低下する可能性が懸念される」との記載内容でしたが、これは冷静に検証するとあまりに非現実的な数値です。何らかの目的に基づく情報操作の可能性が疑われる、鵜呑みにしてはならない情報のひとつと考えられます。
純粋に国産のパネルを製造しているメーカーは減少傾向を続けており、生産国だけで品質の優劣を語ることができる状況ではなくなっています。導入に際しては、生産国だけを根拠に品質の優劣を決めつけるのではなく、候補にあげたメーカーの経営理念などを見極めることで、より適切な判断を下すべきでしょう。
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